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留学同が朝鮮半島情勢や在日同胞に関する記事を配信するブログです。

東京新聞「北朝鮮拉致 国主導示す 工作員養成の内部文書入手」に関する疑問

 11月11日の東京新聞(朝刊)に、「北朝鮮拉致 国主導示す 工作員養成の内部文書入手」と題する記事が掲載された。

 ※記事は

 [東京新聞]北朝鮮拉致 国主導示す 工作員養成の内部文書入手
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201511/CK2015111102000134.html

 記事によると、「本紙は北朝鮮の工作員を養成する「金正日(キムジョンイル)政治軍事大学」(平壌)でスパイ活動の目的や方法を教育する際に使用する内部文書を入手した」とのことで、この文書では「拉致工作の重要性を指摘し、その方法などを詳細に記述している」とのこと。
 そして、「朝鮮労働党関係者によると、金正日体制下の一九九〇年代後半に作成されたとみられる。拉致について教える文書の存在が確認されたのは初めて」で、「最高指導部の方針に従った国家挙げての工作活動の一環だったことを裏付ける一級の資料となる」としている。
 また、「金総書記は〇二年九月に行った小泉純一郎首相との会談で、「八〇年代初めまで特殊機関の一部が妄動主義に走って」拉致を行ったと釈明した。しかし、今回の文書で、北朝鮮がその後も、少なくとも拉致に備えた準備を周到に行っていたことも併せて判明した」とも述べ、朝鮮政府の残忍性、不当性を強調している。

 しかし、この「内部文書」とされているものであるが、既に多くの方が指摘している通り、素人の私が見ても疑問に感じる箇所が少なくない。
 疑問点を3つ挙げてみたい。

1)まず、記事にある文書の写真が記事中に掲載されているが、その中の「拉致」という文字の表記が北での「랍치(ラプチ)」ではなく南式の「납치(ナプチ)」となっている。

 これに関し記事では、「「拉致」など工作にかかわるいくつかの言葉は、北朝鮮の発音ではなく、韓国の発音に基づいて表記されるなど、工作員の主要な活動領域である韓国の実情に合わせて訓練されていたこともうかがわれる」としているが、わざわざ内部向けの教科書的な文書の単語表記を南式にするとは考えにくい。普通に考えると、この文書は偽物でないかと疑う方が自然である。

2)また、かなり細かい指摘になるが、「ㅌ」の字体も、南式のそれになっている。
 (北では、「-」の下に「ㄷ」と書き、左の縦棒をつなげずに書くのが一般的である。)

3)そして、文書に出てくる「金正日主義」なる言葉も存在しない。
 いや、実は国の中枢部では、などと言われるとそれはわからないということになってしまうが、少なくても公の場では一切使われていない。

 類似の表現だと、「金日成-金正日主義」、もしくは「金正日愛国主義」という言葉があるが、これも金正日総書記が亡くなった後、2012年から使われた言葉である。

 ちなみにもう一面の記事に「「金正日主義」という言葉が北朝鮮の公式メディアに初登場したのは九二年八月」とあるが、何のことなのだろうか?


 これらは既に指摘されていることらであるが、これらから考えると、主義主張はともかく客観的に見てもこの文書は偽文書ではないかと疑ってみる方が普通ではないか。
 実際に、この「スクープ記事」に関して、すぐに飛びつきそうな南や日本の政府関係から何の反応もなく、(それこそすぐに飛びつきそうな産経新聞も含め)他のメディアも全く追っていない。

 どう考えても専門家じゃなくてもわかりそうな信憑性のない文書を持ってこのような稚拙な「報道」を行う意図は何なのか?

 対朝鮮世論を悪化させようという謀略の匂いを感じずにはいられないのだが。(賢)

記事

記事②

文書写真


*参考

 なお、この東京記事に関して疑問を呈しているブログ記事を紹介します。

[北朝鮮報道で書かれないこと]「北朝鮮拉致 国主導示す 工作員養成の内部文書入手」:「金正日主義」、「拉致」の朝鮮語表記の解釈 (2015年11月11日 「東京新聞」)
http://dprknow.blog.fc2.com/blog-entry-1227.html

[北朝鮮の本当のはなし]北の教本、わざわざ南の表記にするわけない
http://sankei.dreamlog.jp/archives/47515000.html

[北朝鮮の本当のはなし]フォント違うと専門家指摘、東京新聞入手「北のスパイ教本」信憑性
http://sankei.dreamlog.jp/archives/47684077.html

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【朝鮮民主主義人民共和国訪問記②】11年ぶりの元山(ウォンサン)と万景峰号との再会

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 今回、11年ぶりに江原道は元山(ウォンサン)に行きました。

 かつて万景峰(マンギョンボン)号で訪朝する際は元山から入国しましたが、今は経済制裁があり飛行機で直接平壌に行くことになるので、久しく元山に行くことがありませんでした。

 久しぶりの元山は、懐かしくもありながら、新しい建物もあり、月日の流れを感じました。

 それでは、元山での話を二つ。

1)「ハルモニ食堂」

 かつては元山に行ったら必ず行ったソンドウォン食堂、通称「ハルモニ食堂」。
 11年ぶりに学生らと行きました。

 在日朝鮮人の帰国者の方が運営されている焼肉屋ですが、味は相変わらず美味しかった!!

 あと、サービスがとてもいいのと、トイレがとても綺麗に。

 最後に記念撮影もさせてもらいました。

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2)11年ぶりの再会-万景峰号

 もう一つの11年ぶりの再会-それは万景峰号です。

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 私自身、1997年、2001年、2004年の3回、万景峰号に乗りました。

 広い映画館で寝泊まりし、美味しいアイスクリームを食べながら、夜には船員らによる公演を楽しみ、一泊すると徐々に小さな島が見え始め、すると船の中から歓声があがり、そして元山の港が見えて来る。

 今でもその光景が目の前に浮かんでくるようです。

 しかし、2006年の朝鮮によるミサイル実験の後、制裁措置として一切の入港を禁じられて以来、万景峰号での祖国往来の道は閉ざされてしまいました。

 今でも一応月に1回ぐらいは船を動かしてはいるそうですが、基本的には元山港に停められたまま。

 日本と朝鮮半島、特に朝鮮民主主義人民共和国との間には、様々な懸案問題があります。そこには拉致問題も含まれており、補償まで含めた双方納得する完全解決が図られるべきです。

 しかし、その根本には19世紀末からの日本による朝鮮侵略、そして冷戦体制による対立構造があり、それをいかにして解体していくのかがもっとも本質的な問題であるはずです。その上に、真の日朝関係改善の道があることでしょう。

 そして、それは対話によってしか解決出来ない、いや対話によって解決すべき問題であるはずです。

 それを、根本問題を見ようとせず、自らの過ちには目を背け(むしろ正当化し)、敵対感情だけを煽って、人の流れ、物の流れ、金の流れを止めるようなやり方は、やはり許されるものではありません。そのような方法では、問題が解決されるどころか、むしろ解決が遠のくだけということは、この十数年間の日朝関係が証明しています。

 懸案問題があり、関係が悪い時こそ、人が行き来し、対話を重ねることが大事だと思います。

 11年ぶりに万景峰号を見ながら、今の日朝関係の現実を目の当たりにしたようで、辛い気持ちになりました。

 同時に、この船がまた日朝間を行き来する日が来る日のため、頑張らないといけない、と強く思いました。(賢)

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