留学同情勢ニュース

留学同が朝鮮半島情勢や在日同胞に関する記事を配信するブログです。

「慰安婦」問題の真の解決とは?〜歴史の逆行の中で

 先日、また一人日本軍「慰安婦」(日本軍性奴隷)被害者がこの世を去った。

 [ハンギョレ新聞]
 日本軍「慰安婦」被害者キム・クンジャさん死去…生存者は37人に
 http://japan.hani.co.kr/arti/politics/27999.html

 [忘れません]写真で見るキム・クンジャさんの“美しい人生”
 http://japan.hani.co.kr/arti/politics/28021.html

 これで、自身が日本軍「慰安婦」被害者であると申告した(南朝鮮内)239人のうち生存者の数は37人となった。 
(日本軍「慰安婦」被害者は、朝鮮民主主義人民共和国、中国、フィリピン、インドネシアなどのアジア諸国にいる。)

①

 【※参考】
 [Fight for Justise 日本軍〔慰安婦〕-忘却への抵抗、未来の責任]
 http://fightforjustice.info/?page_id=3476

 第二次世界大戦が終わって72年、日本軍「慰安婦」被害者たちが犯罪認定と法的責任履行を求め始めて26年。この長い間、様々な形で活動してきたにも関わらず、未だに加害者である日本政府は事実を認めることはもちろんのこと謝罪や法的賠償についても行おうとしていない。
 しかし、日本政府が認めている公文書からは「慰安婦」制度は日本軍が立案し、管理し、統制した、軍の後方施設であることを確認できる。以下、ネット上でも公開されている。 

 [WAMアクティブ・ミュージアム 女たちの戦争と平和資料館HP]
 日本軍「慰安婦」関連公文書
 http://wam-peace.org/ianfu-koubunsho/

 また、被害者の方たちの証言は数多く語られており、本、映像などの記録としても数多く存在する。そのような「確たる証拠」を突き付けられているにも関わらず、その事実に関して真摯に向き合おうとしない日本政府の姿勢は、加害者から被害者に振りかざされる暴力以外の何物でもない。

※博物館も建てられている。
 전쟁과여성인권박물관HP(戦争と女性の人権博物館)
 http://www.womenandwarmuseum.net/contents/main/main.asp

 そして、2015年12月28日の日本軍「慰安婦」問題に関わる『韓』日政府間「合意」。

 これは決して、日本が過去の戦争を直視し謝罪と賠償を行ったという話ではない。日本政府は「慰安婦」問題の責任所在を曖昧にし、10億円を南朝鮮政府に渡すことでその後の事業をすべて丸投げにした。また、これにより「韓」日両政府が被害者たちに「これ以上何も言うな」とおさえこむ状況をつくったのである。このように被害者たちの声も聞かずに推し進められた両政府に対して被害者たちが憤りを感じるのは当然であり、「合意」破棄は早急になされるべきはずであった。

 あれから約1年半が過ぎた。未だ『韓』日「合意」は白紙化されていない。

 日本軍「慰安婦」被害者たちへの謝罪も法的賠償もなされておらず、結果、被害者たちは26年間もの間街頭に立ちつづけ今回の「合意」は無効であると宣言し、また現大統領の文大寅(ムン・ジェイン)氏も候補時代から「韓日合意」は無効化されるべきだと主張していた。大統領就任後も、安倍総理との電話会談や、公開インタビュー等を通じて、合意は国民が受け入れられないと表明しているが、日本政府は変わらず韓国政府に合意の履行を強要している状況である。

 【※資料】
 [한겨레신문][사설]아베 총리, 진정성 있게 ‘위안부 문제’ 사과해야
 http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/801947.html

**********

 一方、千葉市による朝鮮学校への補助金不交付については記憶に新しいだろう。

 【※資料】
 [東京新聞]千葉市、朝鮮学校への補助金取りやめ 日韓合意批判で
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017042802000114.html

 この千葉市の対応に対し様々な抗議がなされたが、それに対して千葉市は以下のような立場を表明した。 

 「本市の外国人学校地域交流事業補助金は、学校運営に対するものではなく、外国人学校に在籍する児童・生徒が、地域の人々との交流を通じて健やかに成長し、自立していくことが、本市にとっても重要であることから、外国人学校の地域交流の取り組みを促進することを目的として、補助するものです。
 ご指摘のとおり、表現の自由は、憲法上、保障されていることは言うまでもないことですが、本補助対象事業は、「地域交流に資すること」が必要となります。
 平成28年度の補助金対象事業においては、従軍慰安婦に関する日韓合意を否定する内容の掲示などが含まれていたことから、「地域交流に資する」とはいえないと判断したものです。
 従軍慰安婦に関する日韓合意を否定する内容の掲示などが含まれていたことから「地域交流に資する」とはいえないと判断したもの。」
(「市民の声」http://www.city.chiba.jp/shimin/shimin/kohokocho/shiminnokoe/h27/h29-171.htmlから引用)


 表現の自由に言及しながら、極めて政治的な理由で朝鮮学校への補助金も不交付にした。

②

 現在、日本の中で「慰安婦」問題といえば、「韓日合意」-少女像撤去、10億円の拠出などの問題として捉えられ、もはや「慰安婦」問題とは何なのかという根本的な問題を問うことすらしなくなっている状況に私は危機感を覚える。そもそも「慰安婦」問題とは、戦時下で行われた女性たちへの人権侵害、民族・階級差別、重大な戦争犯罪であるにも関わらず、いつしか歴史が切り取られたまま言葉だけが飛び交っているかのようである。
 そのような中で私たちが目指すべきは、それぞれの立場から被害と加害の歴史を直視し真摯に向き合うことで、また次の世代に語り継ぐことで、その後二度と同じようなことはさせない、起こらないよう努力していくことで、よりよい未来を拓いていくことではないだろうか?

 現在、「北朝鮮脅威」を前面に押し出し、国家安保のためと力づくで法案を可決、施行、そして改憲へと駒を進めている安部政権は、過去の戦争における被害者たちへの想像はおろか存在自体も無視する形で軍国主義の道へと歴史を逆行しているかのようだ。
 そのような中、日本軍「慰安婦」被害者たちは高齢化し、真の解決を見ることなく一人、また一人とこの世を去っている。しかし、直接的な被害者がいなくなったからと言ってこの問題に対して何も言えなくなるわけではない。今後もひきつづき「韓日合意」破棄を求め、日本の歴史の忘却に対して抗い続けていくと同時に、日本政府に対して朝鮮人という立場から責任を問うていきたい。(明)

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朝鮮学校「無償化」指定処分取消訴訟-広島地裁判決について

 2017年7月19日、朝鮮学校高校無償化裁判の判決が広島地裁であった。全国で5つの裁判所にて起こされた同種の判決の中では初めての判決。

 結果は、原告(朝鮮学園側)のすべての訴えを却下した。
 国家の差別を司法が追認した差別を助長する判決といわれるが、それ以前に、判決要旨自体が、偏見に満ちた汚く醜いものであった。
 判決全文に関しては、もっとひどく暴力的な文章であることが予想されるので読みたくもないが、追って注視したい。

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(写真は朝鮮新報より)

 判決要旨の主たる部分をまとめると、
 「就学支援金を支給したとしても、授業料に係る債権に充当されないことが懸念され」るために、支給の基準に適合しないとした文部科学大臣の判断は裁量の範囲内であるこというもの。その理由として、「虚偽の申告」や「不当な働きかけ」が行われる疑いがあるという。
 つまり、「朝鮮学校に就学支援金を渡すと、そのお金は保護者に渡らず北朝鮮に渡ったり朝鮮総連の人間が不正に使ったりするので、ストップさせた文部科学大臣の判断は間違っていない」 ということを裁判所が認めた。
 そこには朝鮮民主主義人民共和国や朝鮮総聯による「不当な支配」があるということが言及され、教育基本法16条1項で禁じる「不当な支配」論を使っている。
 「その他の原告らの主張は採用できず、」と、憲法、国際人権法上の学習権、幸福追求権、平等権などについての言及はなく、ひたすら「不当な支配」を強調することに苦心している。

 まず、朝鮮民主主義人民共和国や朝鮮総聯に対する偏見が明らかに見られる。「不当な働きかけ」や「不当な支配」というものを、法の趣旨や目的とも離れて無批判に使っている。そこには、朝鮮や朝鮮総聯に対して、「不法な国家」、「不法な団体」という認識が見える。
 さらに、そもそも「不当な支配」は、戦前の反省から日本の国家による不当な介入を防ぐためのものであり、それを恣意的に解釈した被告(国側)の論理をそのままなぞっている。この論理を認めてしまえば、国家の都合のよいようにいくらでも転用される危険があり、条文の本来の趣旨と全く逆の結果を招くことになる。

 1月の大阪での補助金裁判判決と今回の判決を見る限り、日本の裁判所は、朝鮮人に対する偏見丸出しで、国家の解釈や行動にお墨付きを与えるだけの存在でしかないらしい。憲法、国際人権法上の「人権」の観点など一ミリも見えず、国家の独立した主権も知らず、私学の自由などの教育法上の原則も無視した、100%国家追認の判決。日本の行く末を考えれば、歴史的な判決(もちろん悪い意味で)なのかもしれない。

 7月28日には大阪地方裁判所にて判決が出るが、私たちに求められるものは、理念も信念もない国家権力の奴隷裁判所などに期待することではなく、自分たちの力で自主的な民族教育を発展させ、自分たちの政治闘争で権利を獲得することしかないと改めて思い知らされた事件だった。(貴)

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南北朝鮮、そして米国

 7月4日、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)は大陸間弾道ロケット(ICBM)「火星14」の試験発射に成功したと報じた。

【조선중앙통신】조선민주주의인민공화국 국방과학원 보도 ――대륙간탄도로케트 ≪화성-14≫형시험발사 성공
http://www.kcna.kp/kcna.user.special.getArticlePage.kcmsf

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 報道によれば、「火星14」は共和国の西北部地帯で発射され、予定された飛行軌道に沿って39分間飛行し朝鮮東海の公海上に設定した目標水域を正確に打撃したとしている。ちなみに、周辺諸国の安全にいかなる否定的な影響も与えなかったそうだ。

 当初、米太平洋軍は「中距離弾道ミサイル」と判断していたが、翌日米国務長官が「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」だと認めたようだ。

【日本経済新聞】「「北朝鮮ミサイルはICBM」 米国務長官が非難」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H1J_V00C17A7MM0000/

 米「韓」両軍は、早速日本海でミサイル発射訓練を実施した。先日の米韓首脳会談の成果というべきか。着々と軍事同盟が強化されている。

【時事通信】米韓がミサイル発射訓練「北朝鮮指導部攻撃可能」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170705-00000014-jij-kr


【聯合ニュース】文大統領がミサイル射撃訓練指示「声明で対応する状況ではない」
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2017/07/05/0200000000AJP20170705000700882.HTML

 彼は朝鮮半島の自主的で平和的な統一など望んでいないのであろうか。米国との関係強化への力の入れようが凄まじい。民衆による「キャンドル革命」で誕生した政権であることを改めて肝に銘じ、冷静に判断する必要があるのではないか。「キャンドル革命」は民衆による運動であり、それイコール文在寅政権ではないはずだ。民衆の運動と政権とは分けて見るべきところはしっかりと分けて見なければならない(日本にいる身で偉そう言える立場にないとは思うが、日本にいるからこそしっかりと物事を見る目を養わなければならないとも思う)。
 そもそも、文在寅大統領はその就任演説で「韓」米同盟をより強化するとはっきりと言っている。この演説を聞いて喜びよりも残念に思った人もいるのではないだろうか。

【민중의 소리】[전문]19대 태통령 문재인 ‘국민께 드리는 말씀’
http://www.vop.co.kr/A00001157931.html

 基本的なことかもしれないが、「北の核問題解決」という認識を何よりもまず改めなければいけない。この問題に対して、共和国にのみ問題があり一方的に非があるといった認識は、どこまでいっても帝国主義的であり強者の論理でしかない。

 共和国の民族和解協議会は、6.15発表17周年に際して北南関係改善に関する重要な問いかけを行った。

【조선중앙통신】온 민족의 이름으로 남조선당국의 묻는다 ――민족화해협의회의 공개질문장
http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieveNewsViewInfoList.kcmsf#this

 質問項目の一つ目は「外部勢力との共助を排撃し、わが民族同士の理念を土台にして、北南関係を自主的に解決する意志があるのか」となっているが、これこそが北南関係における根本的な問題であり、一番重要な部分である。

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 そして米国である。『マスコミに載らない海外記事』というサイトで興味深い記事を目にした。

【マスコミに載らない海外記事】「ワシントンが16年間戦争をしているのはなぜか」
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/16-69f8.html

 冒頭から少し引用してみよう。

 「米国は、16年間、中東と北アフリカで、戦争をし続けて、何兆ドルも経費がかさみ、計り知れない戦争犯罪をおかし、何百万人もの戦争難民を送り込んで、ヨーロッパに重荷を負わせ、同時に、ワシントンには、社会保障やメディケアの義務を守る余裕がなく、あらゆる文明国にある国民皆保険の資金がないと主張している」

 ここ数十年の米国の特徴としては、「人道的」目的という名にによる軍事介入をあげることができるだろう。それと関連する形で2000年代に入り新しく主張されるようになった概念として、権利と「予防戦争」がある。これは、国際法の範囲に含まれるかもしれない先制攻撃とは異なる考え方である。

 ノーム・チョムスキーによれば「予防戦争」とは、「想像上あるいはでっち上げの脅威を排除するために軍事力を行使すること」であり、「予防戦争は戦争犯罪の範疇に含まれる」としている。

 さらに、予防戦争の標的となる特徴として次の3つをあげている。

 一、実質的に無防備でなければならない
 二、わざわざ苦労するだけの価値がある重要な相手でなければならない
 三、その相手を究極の悪呼ばわりし、我々の生存を脅かすさし迫った脅威として描く方法がなければならない

 上記3つの条件すべてを満たしていたのがイラクであり、結果引き起こされたのがイラク戦争である。米国は、イラクが「大量破壊兵器」を保持していることが確実だということを持って侵攻を正当化したが、実際には大量破壊兵器など存在しないことが明らかになると、「兵器製造に使用可能と思われる設備の発見によって」自らが正しかったと主張を変えたのである。何とも無茶な話であるが、それで実際に戦争が引き起こされたのである。事実などどうでもよく、米国が行ったことが「正しい」のだと、米国実例を持って証明したのだ。

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 話を共和国に戻そう。上記の3つの条件の内、共和国は下の二つが当てはまっているといえるだろう。言い方を変えれば、共和国が「実質的に無防備」ではないから、米国は予防戦争を仕掛けられないのである。共和国にのみ核の放棄を強要することは、朝鮮半島の平和に近づくどころか、戦争へと近づくということをどれだけの人が真剣に考えているのだろうか。

 最後に、今回の大陸間弾道ロケット試験発射成功に伴いなされた共和国の主張を引用しよう。

 「米帝との長きにわたる対決がついに最終局面に入ったと、われわれの警告を無視して我々の意志を試している米国にはっきりと見せつける時が来た」。

 「米国の対朝鮮敵視政策と核威嚇が根源的に一掃されない限り、われわれはいかなる場合にも核と弾道ロケットを協商のテーブルに置かないし、われわれが選択した核戦力強化の道からたった一寸も退かない」。

【조선중앙통신】반제반미대결전에서 이룩한 주체조선의 위대한 승리 ――대륙간탄도로케트 ≪화성14≫형 시험발사 성공
http://www.kcna.kp/kcna.user.special.getArticlePage.kcmsf

 追い詰められているのは、はたして共和国か、米国か。(匡)

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