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留学同情勢ニュースブログ

留学同(在日本朝鮮留学生同盟)が朝鮮半島情勢をはじめとして様々な情報や見解を発信するブログです。

3・1人民蜂起100周年 2019年の転向・親日問題から考える

 3.1人民蜂起100周年となる2019年、改めてその歴史的意義を考える必要性を感じるとともに、「民族自決」「自主独立」という100年前の課題が現在のものでもあるということは今の朝鮮半島情勢や日本社会の朝鮮弾圧・バッシングを見てもわかる。

 2018年、朝鮮半島情勢が大きく動く中、南朝鮮では「ミスターサンシャイン」というドラマが大ヒットした。内容は1900年前後の義兵闘争(戦争)を主に扱ったもので、3・1人民蜂起につながる重要な歴史を描いた作品が100周年を前にヒットしたという点は示唆的である。2019年3月1日には、100周年記念行事が南北共同で催され、3・1人民蜂起の歴史的意義を再確認する営みは朝鮮半島各地で行われるだろう。
 
他方日本では、明治維新150年、「西郷どん」である。明治を「栄光の歴史」として描き、朝鮮への侵略・植民地支配の歴史をなかったことにする、または「日本が朝鮮を近代化した」という認識が蔓延する中、日本政府が加害の歴史と向き合おうとする動きは建前すらない。おそらく3・1人民蜂起100周年の様々な営みに対しても応えることは全くないだろう。

 そのような中、注目したい記事として、2018年の11月24日付の産経新聞に、姜尚中氏のインタビュー記事が載った(「海峡を越えて『朝のくに』ものがたり」(46)姜尚中)。産経新聞の出たこともさながら、驚くべきはその内容である。日本政府にとって都合の良すぎる「モデルマイノリティ」としての主張に思わず笑いそうになった。

日本国籍を取るのが自然の流れでしょうね。ひとつの物語の終焉です」、「日本にいる以上、日本の流儀に従うべきでしょう。」、(日本への帰化を)「外来種から、本当の在来種への転換。その物語を完結させる儀式」、「日本社会がうまく“受け皿”をつくっていれば、同化はもっと早かっただろうと思う。」、「『コリアン・ジャパニーズ』としての個性を重んずる社会を実現すべきでしょう」(全て上記記事より)

 姜尚中の転向に関しては以前から指摘されており(金光翔氏のブログ「私にも話させて」に非常に詳しい)、「北の脅威」を煽るだけ煽る近年の発言には目も当てられないほどであったが(例えば、「AERA」の連載)、ここまではっきりと変節しそれを堂々と発するようになったのか。朝鮮半島情勢や在日朝鮮人に関する発言は徐々に控えそっとフェードアウトしていくのだろうと思っていたのだが、堂々と「植民地朝鮮親日エリート」として言論活動を続けるのだろうか。
 
金光翔氏のまとめによると、従来姜尚中は、日本の戦前と戦後の連続性とそれによる戦後も続く在日朝鮮人排除、侵略・植民地支配の未清算を批判してきた(『姜尚中はどこに向かっているのか―在日朝鮮人の集団転向現象10』)。また在日朝鮮人のアイデンティティに関しても、「大雑把に言えば、在日朝鮮人の直面する諸課題と分断「祖国」が直面するそれとの歴史的共通性を重視し、その共通の課題解決の努力を通じて「祖国」を志向するようなあり方に在日朝鮮人の社会的・政治的アイデンティティを置くべきであり、「定住外国人」としての権利についてもその視点から論じられるべき」(『在日朝鮮人言説の変容について(9)』)だという。また、1991年に在日朝鮮人の運動団体で行った講演の中では、「在日同胞の帰化を食い止め、朝鮮人としてのアイデンティティを保ちつつ、そして統一された祖国との関係を持ちながら」生きるための物質的な基盤作りの必要性について熱弁している(その後、どのように変節していくのかを追った考察は非常に興味深い)。

単に一人の情けないエリートの変節と堕落であるなら笑っておしまいであるが、これは姜尚中個人の問題ではなく、日本国家・日本社会の構造的な問題である。日本政府や産経新聞はもちろん、朝日新聞(「AERA」は朝日新聞出版)も現在の姜尚中のような在日朝鮮人知識人を求めているのであり、だからこそ姜尚中のような在日朝鮮人知識人も進んで転向していく。個人の問題ではなく、自分たちの前にも同じ罠が仕掛けられている。

そして、この転向の問題は、極めて歴史的な問題でもある。植民地下における朝鮮人知識人の中には、初期には「朝鮮独立」を叫びながら、日中戦争期には「内戦一体」「大東亜共栄圏」というプロパガンダを叫んだ人たちも少なくない。2・8独立宣言を起草した李光洙はその代表であり、3・1独立運動の民族代表も多くが後に親日行為に走った。血も肉も骨も日本人にならなければならないと朝鮮人に訴えた李光洙と、「日本にいる以上、日本の流儀に従うべき」と言う姜尚中は共通する。植民地期のみならず、日本による植民地支配が作り出した朝鮮人同士の分断が朝鮮半島の分断につながり、植民地支配責任が不問にされたまま日本による朝鮮認識(蔑視)と朝鮮人弾圧が温存される中、現在においても共通の問題が存在する。

李光洙

それは知識人だけの問題ではなく、運動全体の認識が問われる。くしくも転向前の姜尚中が言ったような「在日朝鮮人の直面する課題と祖国の直面する課題との歴史的共通性」を認識し、現在そしてこれからの祖国を志向することが求められるのではないだろうか。だからこそ、2019年、3・1人民蜂起の歴史的意義を再確認するとともに、日本による朝鮮植民地支配責任を問い、朝鮮人の民族解放闘争の歴史から学ぶ作業が求められる。(貴)
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