留学同情勢ニュース

留学同が朝鮮半島情勢や在日同胞に関する記事を配信するブログです。

核兵器と国際秩序-朝鮮の5度目の核実験に思う

 「核兵器は絶対悪である。
 『いい核兵器』と『悪い核兵器』なぞ、あろうはずがない。」

 私は、今年1月の朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)による水爆実験直後、広島の原爆資料館(広島平和記念資料館)を訪れた。
 
 もう5度目の原爆資料館ではあったが、そこに展示されている写真や数々の遺品、映像を見ながら、改めてその悲惨さに胸が痛くなった。
 いや、写真や遺品でそう思うのだから、1945年8月6日当日は、その数千倍、数万倍などといった数字では到底表せない惨状が広島の地で繰り広げられたのである。

 だから、一番上に書いたことを改めて再確認した。

 世界から核兵器は一切なくなるべきである。
 ましてや、私のルーツの朝鮮半島に核兵器が存在するということは、本当に悲しくなる現実である。

広島原爆資料館

原爆ドーム

広島平和記念公園

********************

 しかし、しかしである。

 今回の朝鮮による核実験以降の、「北朝鮮は国際世界の脅威」といった論調、「類例のない経済制裁」を通り越して、軍事制裁、体制崩壊までちらつかせて朝鮮に圧迫を加えるべきだという声には、相当の違和感がある。
 違和感を通り越して、怒りを禁じ得ない。

 核廃絶を唱えるなら、すべての核兵器廃絶を訴えるべきである。
 こういう時こそ、すべての核兵器保有国が批判されてしかるべきである。

 国連安保理ではまたしても制裁決議をしようという動きがあるが、そこの常任理事国である米・英・仏・露・中はすべて核兵器保有国である。
 しかも、その保有数はその他の核保有国の数を圧倒するものである。
 その上、インドやパキスタン、イスラエルの核保有は事実上黙認されている。

 また、今回も制裁決議の先頭に立っている日本、韓国は、米国の「核の傘」にしっかりと守られている。

 ※参考記事
  [朝日新聞]「核の傘、確実な保障を」韓国政府、米国に要請
   http://www.asahi.com/articles/ASJ9G5JR2J9GUHBI024.html

 こんなわかりやすい不合理、二重基準(ダブルスタンダード)があるだろうか?

 「俺は持つが、お前は持つな」なんてのが通用しないのは、小学生でもわかる話である。

********************

 特に米国である。

 米国はこれまで1,000回以上も核実験を行っており、朝鮮が2006年10月に初めて核実験を実施した以降だけで数えても、「新型核実験」を10回以上行っているのである(最近では2014年)。
 オバマ大統領は口先では「核兵器なき世界」を目指すなどと言ってその口先だけで見事ノーベル平和賞を受賞したが、彼は実際には核廃絶のために何もしなかったどころか正反対のことをしているのである。(オバマ政権下で核兵器削減ペースは歴代政権の中で最低水準であり、核兵器更新に今後30年間で1兆ドルを投入する計画を承認している。)

 ※参考記事
  [留学同情勢ニュース]オバマ大統領による広島訪問について-その偽善と欺瞞
   http://rhtjnews.blog.fc2.com/blog-entry-39.html

 また米国は、ありもしない大量破壊兵器を口実にイラクでの戦争を起こし、アフガニスタンで戦争を起こし、リビア、シリア、パキスタン、イエメン、ソマリアでも軍事行動を起こしたのである。いや、今も起こしているのである。
 「親分・米国」の言うことを聞かない国には、軍事をもって崩壊させることも辞さないのが過去の、現在の米国だ。
 (それらの国は米国の軍事行動の結果、その地住む人々にとって良い国、良い社会になったのだろうか?むしろ大混乱を起こしているのが現実ではないのか?)

イラク戦争①

イラク戦争②

 そして、同じく言うことを聞かない朝鮮に対しても徹底的に敵視し、あらゆる制裁をかけてきた。

 経済制裁だけではない、例えば1994年には軍事攻撃まで検討したのである。
 結局しなかったのは良心に照らせ合わせて自重したのではない、攻撃すると自分たちにも相当の被害が及ぶからしなかっただけである。

 いや、その時だけではない。
 これまで年に何度も、そして今現在も、朝鮮の目の前で軍事演習を行っており、近年は「平壌占領」や「(最高指導者の)斬首作戦」の訓練をしていると公言しているのである。
(世界一の軍事強国がしかも目の前でこんな軍事演習をして恐怖を感じない国があるなら、是非教えて欲しい。)

 今でも朝鮮に力がないと判断したら軍事攻撃をするのではないか?
そう朝鮮政府が思っても、不思議ではない。

 だから、朝鮮政府は核保有までも決断し、実行に移したのであろう。

********************

 米国をはじめとした国連安保理、そこに同調する国々の主張は「核は持つべきではない」ということではないだろう。
 「今の(国連安保理常任理事国を中心とする)大国による世界秩序の挑戦は許さない」、つまり「大国に従え」ということであろう。
 そうとしか思えない。

 今年の4月に朝鮮中央通信に「불공정한 세계정치질서를 변혁하기 위한 정의의 불길을 지펴올리자(不公正な世界政治秩序を変革するための正義の火を灯していこう)」という論評が掲載されたが、そこに書いてある次のような文章に、上記の国々に住んでいる人々は反論できるだろうか?

 (少し長いが、以下に一部を引用する。)

--------------------

(以下、引用)

 우리는 세계의 정의와 량심앞에 묻는다.
 그래 우리의 자주권과 생존권을 강탈하려고 세기와 년대를 넘어 감행하는 미국의 횡포는 《정의》이고 이에 맞서 자기의 사상과 제도,존엄을 지키려는 우리 인민의 노력은 《도발》로 된단 말인가.
  미국이 우리를 겨누고 감행하는 미싸일발사는 《평화》와 《안전》을 위한 《정당한》 행동이고 그에 대비한 우리 군대와 인민의 자위적인 로케트발사는 지역의 평화와 안전에 대한 《도전》인가.
 살인적인 핵무기를 처음으로 만들어내고 인류를 대상으로 그것을 서슴없이 사용하였으며 그에 대한 끊임없는 갱신과 막대한 수량의 보유로 세계를 안정과 평화를 모르는 공포의 전장으로 전락시킨 원흉,수많은 약소민족들과 무고한 인민들을 참혹한 죽음에로 몰아간 장본인은 도대체 누구란 말인가.
 적대세력들이 그토록 문제시하는 우리의 핵보유에 대해 말한다면 그것은 수십년동안 우리를 핵으로 위협하고 공갈하며 온갖 제재와 압박을 가해온 미국의 침략에 맞서 우리의 자주권과 존엄,생존권을 지키기 위한 정정당당한 자위적선택이다.
(我々は世界の正義と良心の前に問いたい。
 我々の自主権と生存権を強奪しようと世紀と年代を超えて強行される米国の横暴は「正義」であり、これに抗って自身の思想と制度、尊厳を守ろうという我が人民の努力は「挑発」になるというのか。
 米国が我々を狙って強行されるミサイル発射は「平和」と「安全」のための「正当な」行動であり、それに対するわが軍と人民の自衛的なロケット発射は地域の平和と安全に対する「挑戦」になるのか。
 殺人的な核兵器を初めて製造し、人類を対象にそれをためらうことなく使用し、その絶え間ない更新と莫大な量の保有で世界を安全と平和を知らない恐怖の戦場に転落させた元凶、数多くの弱小民族と無垢な民衆を残酷な死へと追いやった張本人は、一体誰だというのか。
 敵対勢力がそれほど問題視する我々の核保有について言うなら、それは数十年間我々を核で脅し恐喝し、あらゆる制裁と圧迫を加えてきた米国の侵略に抗って、我々の自主権と尊厳、生存権を守るための正々堂々とした自衛的選択である。)

・・・

 미국과 그 추종세력들이 우리의 주체위성발사를 《탄도미싸일발사시험》이니,《유엔결의위반》이니 하고 걸고드는것은 더욱더 어불성설이다.
우리의 운반로케트를 그처럼 악착하게 문제시하는데 과연 미국은 위성을 운반로케트로 쏘아올리지 않고 입김으로 불어올렸는가 아니면 손으로 던졌는가.
분명히 미국은 물론 수많은 나라들의 위성도 운반로케트에 실려 우주로 날아가는데 유독 우리의 운반로케트만이 세계평화와 안전에 위협을 준다는것은 생억지이고 강도적궤변이 아닐수 없다.
(米国とその追従勢力が我々の主体的衛星発射を「弾道ミサイル発射実験」だの「国連決議違反」だのと難癖をつけるのは、より一層道理に合わない。
 我々の運搬ロケットをあれほど悪辣に問題視するのだが、果たして米国は衛星を運搬ロケットで打ち上げずに口から息で吹き上げたのか、もしくは手で放り投げたのか。
 明らかに米国はもちろん数多くの国々の衛星も運搬ロケットで宇宙に打ち上げたのに、唯一我々の運搬ロケットだけが世界平和と安全に脅威を与えるというのは無理な言いがかりであり、強盗的な詭弁以外の何物でもない。

・・・

 목소리가 크다고 정의로운것이 아니다.
 미국이 《아》하면 대소국모두가 《아》하고 따라하니 비록 울림은 클수 있겠지만 그것이 인류의 정의와 진리를 대변하는것으로는 결코 될수 없다.
(声が大きいからと正義なのではない。
 米国が「あ」と言えば大小国すべてが「あ」と付き従うから声は大きくなるだろうが、それは人類の正義と心理を代弁するものには決してなり得ない。)

(引用、ここまで)

 ※当該記事は、以下より参照されたい
  [留学同情勢ニュース]朝鮮民主主義人民共和国の声―「不公正な現世界政治秩序は変革されるべき」
   http://rhtjnews.blog.fc2.com/blog-entry-26.html

---------- ----------

 改めて核兵器は絶対悪であり、廃絶されるべきである。

 ただ、ここで確認したいのは、朝鮮の核兵器保有が「悪」なら、米国を初めとする「大国」の核兵器保有も「悪」なのである。
 いや、歴史を見ても現状を見ても、朝鮮の核兵器保有が10の力で批判されるなら、米国の核兵器保有は1,000、10,000の力で批判されてしかるべきだと思う。

 私は朝鮮人の一人として、東アジアに住む一人として、世界はもちろんこの地域から核兵器が一刻も早く無くなることを願ってやまない。

 ではどうすればいいのか?

 「俺は持つがお前は持つな」などと言って一方が核兵器を無くすなんてするわけがない。
 そしてその論理で力の強き者が弱き者をこれでもなく圧迫して無くさせようとするなんて、正義でも何でもない。

 そもそも朝鮮と米国で言うと、その力量差は圧倒的である。
 「いい核」と「悪い核」がない以上、お互いが同時に無くすことが大事であり、力関係が圧倒的に違う以上、力の大きい方から態度で示すべきである。
 つまり同時行動の原則であり、それを力の大きい方から示す必要がある。

 そして相互尊重の原則に経つべきである。
お互い歴史も政治体制も違うのだから、もちろん理解出来ないことや疑問に思うこともあるだろう。
しかし、まずはお互いを認めることからスタートしないと、始まらないと思う。
(相互尊重は朝鮮半島で言うと南が北を、北が南をの両方であることは言うまでもない。)

 朝鮮半島について具体的に言うと、60年以上続く朝鮮戦争の停戦体制が朝鮮半島情勢を不安定にしている根本要因なのだから、米国は朝鮮の体制を認め、停戦協定を平和協定に転換することが唯一の解決策であろう。
 そしてそのためには交渉と対話しかない。

********************

 「『大国』(≒欧米諸国を中心とした旧植民地宗主国)を中心とした不公正な世界秩序」が世界のあらゆる動乱の根本原因であると思う。
 それは、朝鮮半島においても言えることである。

 あらゆる国、民族、人々の尊厳が認められる世界を作るべきである。(賢)
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する